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岡崎のパン屋(NONOJI)

愛知県岡崎市に設計した複合施設『NEKKO OKAZAKI』の中にある、ベーカリーカフェの計画。

施設の入り口付近にあるベーカリー売り場に人を招き入れつつ、施設の奥にあるレンタルスペースや工作教室にも人を誘う必要があったため、カフェのカウンターは施設内に用いられている角度(=緑道のデザインに引用されている旧東海道の軸)と水平反転した角度の2つを同時に用いることにした。

店舗面積の約6割を占める厨房は、売り場から製造風景が見える計画にすることで、食のライブ感を施設内に溢れさせることを考えた。

ベーカリー売り場のカウンターは、岡崎の中山間地域(万足平)でかつて猪垣として広く用いられていた片麻岩を野積みしている。約6tの片麻岩をベーカリーカフェのスタッフの方々と一緒に採石場から店舗に運び、野積みは保存会の方や近所の方と一緒に進めた。(※ちなみに、カフェカウンターの砕石も片麻岩を用いており、生コン会社まで約2tの砕石を手運びし、このカウンターのためにオリジナルで調合している。)

今回カウンターに用いた片麻岩は石積み用としては調達先が存在せず、天野裕さんが親戚筋などから調達先を開拓してくれたことで実現した。一度途切れた素材へのアプローチを復活させるには市場の原理に加えてそこに介在する”人のつながり”を紐解く必要がある。人のつながりの先に素材の再評価があり、その先にようやくこの土地固有の景観が形成されるのではないか。ささやかではあるが今回の挑戦が”人のつながり”を再考するきっかけになったのではないかと思う。

岡崎のパン屋(NONOJI)

ディレクション

藤井 伸昌

設計

studio36

施工

五城建設株式会社

電気・空調換気設備

株式会社戸松電気工業所

給排水設備

石田設備株式会社

石積施工

天野さん、欧州建材、WS参加者

グラフィックデザイン

design office Switch

サイン施工

Adesign sign+graphic

写真

Asuto Noda